在宅療養を始めるまでに準備しておくこと

退院後は、外出が制限されることもありますので、退院前から少しずつ準備していきましょう。

1.対象になる制度を調べましょう。

乳幼児医療費助成制度(子ども医療費助成制度)のほかにも、お子さまの状態によって受けられる医療費助成や福祉制度があります。医療費助成・手当・障害者手帳の種類や手続きが可能な時期(年齢、疾病期間)など、病院の看護師や医療ソーシャルワーカーに尋ねたりして確認しておくとよいでしょう。
申請に当たっては、医療機関で医師に意見書を作成してもらったり、市町村で住民票や所得証明書を発行してもらったりと、様々な書類をそろえる必要があります。県や市町村窓口の開庁日に、申請書類を受け取ったり持ち込んだりできない場合は、郵送で対応できることがありますので、問い合わせてみるとよいでしょう。

2.連絡先リストを作成しましょう。

退院後は、外来診療や往診を行っている病院、訪問診療を行っている診療所、訪問看護ステーション、(訪問)薬局、在宅療養に必要な医療機器や医療材料を取り扱っている業者、福祉用具を取り扱っている業者と連絡をとることがあります。
病院の退院調整担当看護師に教えてもらったり、ご自宅近くの医療機関等に問い合わせたりしてリストを作成しておくと安心です。
訪問看護ステーションを利用する場合は、契約手続を済ませておきましょう。

3.療養生活に必要な物品を準備しましょう

入院中は、ベッドや車いすなどの生活に必要な用具、医療処置に必要な用品など、お子さまに必要なものが整っていますが、退院後の療養生活に必要となる用具や用品は、ご家庭で購入する必要があります。
必要な用具や用品については、病院からご家族に対して説明があります。なお、購入費用の一部を自治体(窓口は市町村)が負担する制度の対象となる用具がある場合は、必要な手配をしてもらえます(申請はご家族が行います。)。

療養生活に必要なもの

4.快適に介護するための模様替えや生活動線などを考えたリフォームについても考えてみましょう。

お子さまに必要な医療機器や日常生活用具の配置を考えてみましょう。
お子さまの様子を観察できるように、室内になるべく死角がないよう家具などの配置にも気を付けましょう。
日中過ごす部屋から浴室や寝室へと移動するための動線がスムーズにいかなかったり、必要なスペースが確保できないと、ストレスを感じてしまうことがあるかもしれません。
バリアフリー化などの住宅改修を行う場合、改修費を助成(一部または全部)している市町村があります。福祉担当課が実施している地域生活支援事業(日常生活用具給付等事業)や土木建設担当課のリフォーム助成事業がないか、お住まいの市町村に問い合わせてみましょう。

日常生活用具

5.医療的ケアを覚えましょう

退院前になると、看護師からご家族へ、在宅で行う医療的ケアについての指導があります。
その時は、病院に撮影の許可を得て、ビデオやスマートフォンなどで録画しておくと、在宅療養が始まった時に後で見直すことができて便利です。
手伝ってくれる周囲の方々にも録画した映像を見てもらって、一緒に協力し合いながらお子さまのケアができるといいですね。

6.外出・外泊練習

医療的ケアを習得した後、状況次第では試験的に外出や外泊ができます。
不安かもしれませんが、病院のスタッフがサポートしてくれますし、外出・外泊しなければ分からなかった問題について対策を立てることができます。また、契約する訪問看護ステーションにも、この時に家庭での状況を確認してもらうとよいでしょう。
なお、病院によっては院内外泊ができるところもあります。

7.災害・緊急時の対策を立てましょう

連絡先リストは、災害・緊急時の連絡用としても利用できます。お子さまのケアに必要な医療材料・医療処置用品、停電時の医療機器等の電源対策、災害時の避難先・避難経路などを記録しておきましょう。また、ご家族でこれらの情報を共有し、困った時は、ご近所の方々にも協力してもらえるような関係を築いておくとよいでしょう。

8.退院時の移動

お子さまの状態にもよりますが、退院時に車で帰宅する場合は、ケアに必要な医療物品や育児用品、こまめな休憩が必要になります。暑さ・寒さ対策とあわせて十分な準備をしてからお迎えに行きましょう。また、降車してからスムーズにお部屋まで移動することができるかどうかなど、事前に確認しておきましょう。
運転者がいなかったり、運転に自信がないなどの場合は、介護タクシーや福祉タクシーを利用すると良いでしょう。障害者手帳を持っていると、運賃の割引を受けることができます。

介護タクシー 福祉車両を運転する乗務員が介護職員や介護福祉士などの資格を持っているため、乗降介助や病院への付き添いなどの介護サービスを受けることができます。また、看護師の添乗サービスも利用できるところもありますが、これらのサービスを受けるには別途料金が必要です。
福祉タクシー 介護タクシーと違い、利用者への介護サービスが行われません。移動手段として利用しましょう。

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