知ってほしい赤ちゃんの体のこと

成長や発達

早産児の成長や発達については、実際に産まれた日ではなく、出産予定日を基準に考えていきます。これを修正月齢といいます。つまり、出産予定日より2ヵ月早く産まれてきた早産児は、生後2ヵ月で修正月齢0ヵ月、生後6ヵ月で修正月齢4ヵ月と考えて評価します。生まれた時からの月齢で評価して、心配することはありません。
より在胎週数が短く、より出生体重が少ない赤ちゃんでは、修正月齢で評価しても、成長や発達がゆっくりな傾向はあります。しかし、個人差はありますが、ほとんどの児はゆっくりと在胎37週以降に生まれた児に追いついていきます。母子手帳の乳児身体発育曲線上にグラフを描きますが、正常域に入っていることが重要なのではなく、産まれたときからの成長をトータルで見ていくことが肝心です。

未熟児貧血

赤ちゃんはママから血をつくるための鉄分をもらって生まれてきますが、そのほとんどを妊娠後期に受け取ります。しかし、早く生まれてきてしまうと、十分な鉄分をもらえないので、赤ちゃんの体内に貯蔵される鉄は少なくなります。そのため、生後3ヶ月頃から鉄欠乏性の貧血になりやすく、退院後もしばらくは、鉄剤の内服を必要とする場合が多くあります。
妊娠中・授乳中に、少しでも多くの鉄分を赤ちゃんに与えるためには、鉄を多く含んだ食品 (例:赤身の肉、魚、レバー、豆腐、小松菜、ほうれん草、納豆、ひじきなど)を積極的に摂取することをおすすめします。

服薬(ピロリン酸第二鉄シロップ(インクレミンシロップなど))

未熟児骨代謝疾患(骨塩減少症、未熟児くる病)

骨の形成に必要なカルシウムやリンも、妊娠後期に母体から胎児に移行するので、早く生まれた赤ちゃんは、これらが不足して骨がもろくなることがあります。その場合は、NICU入院中にカルシウムやリン、ビタミンDといった骨の形成に必要な栄養素の予防的な補充を始めることがあります。また、退院後は、母乳やミルクからのカルシウムやリンの摂取が主体になりますが、ビタミンDの補充が必要になる場合もあります。

慢性肺疾患

未熟な肺に、人工呼吸器による機械的刺激や出生前後の感染などの影響で肺が傷み、その後も肺機能の低下が続いてしまっている疾患です。退院時には明らかな症状のない赤ちゃんから、のどが常にゼロゼロしていたり、退院後も在宅酸素療法や薬が必要な場合など、程度にはかなり個人差があります。肺は生後も成長するため、一般的に退院後は症状が徐々に軽快し、ほとんどの場合は、3歳頃までには治ります。 ただし、慢性肺疾患のある赤ちゃんは、気道感染症の際に症状が強くなる傾向がありますので、早めにかかりつけ医を受診するようにしましょう。

脳室周囲白質軟化症

小さく生まれた赤ちゃんは、脳への血流調節能が未熟なため、出生前後に具合が悪い時期があると、脳へ血液が十分に供給されず、脳組織が部分的に傷むことがあります。特に脳室の周囲にある白質という部分が好発部位なのですが、ここには運動神経などが束になって存在しているため、脳性麻痺の原因となりやすく、成長する過程で手足の硬直などの症状が現れてくることがあります。
NICUで頭部超音波検査、頭部 MRI、脳波などの検査を行いますが、検査で異常がなくても、フォローアップ外来経過中に次第に症状が見られ始め、リハビリが必要となる場合もあります。なるべく早期に発見し、早期に治療を開始することが症状改善に有益なので、定期的にフォローアップ外来での診察を受けましょう

鼠径ヘルニア

腹筋が弱いために、腸が足の付け根の皮膚の下にはみだしてしまう病気で、早産児・低出生体重児に多くみられます。成長して腹筋が強くなるに従い、自然に治ることもありますが、腸がなかなか引っ込まない場合には腸が傷んでしまうこともあるので手術が必要です。
ご自宅で引っ込まなくなり、緊急入院・緊急手術ということもあり得るので、見つけ次第かかりつけの医師から小児外科の専門の医師を紹介してもらうなどして、ご自宅での対処法、手術の時期について相談しましょう。

臍ヘルニア

臍帯が付着していた部分から、腸が腹部の皮膚の下にはみだしている状態です。腹筋が弱いことが主な原因なので、早産児・低出生体重児に多くみられます。一般には、1歳までにほとんどのお子さんが良くなりますが、極端に大きな臍ヘルニアでは皮膚過伸展の結果、臍突出(でべそ)が残り、見た目にもあまり好ましくありません。
一般的には突出した臍と消化管を、手を使ってお腹の中に戻し、綿球等を臍の中に入れて、左右の腹壁皮膚を引き寄せた状態でテープ等で固定する圧迫固定法が用いられています。効果的に、また、テープかぶれや交換時の剥離刺激による皮膚の発赤等を、できるだけ少なくするような素材選択やコツ等がありますので、必ず医師(小児科、小児外科または形成外科)に相談しましょう。

2歳を超えても直らない場合には、手術の適応となる場合もあります。小児外科または形成外科に相談しましょう。

吐乳

退院後1ヶ月目までに最もママを悩ませるのは吐乳(とにゅう)です。機嫌が良く、哺乳する力が普段と変わらない状態で体重増加が良好ならば、溢乳(いつにゅう)の可能性が高いでしょう。溢乳は生理的な嘔吐ですので、様子を見ていただいてかまいません。通常は、次第に頻度が少なくなっていきます。長期に大量の嘔吐が続く場合や次第に頻度が増す場合、体重の増えが悪い場合は、胃内食道逆流症や幽門狭窄症等の疾患の可能性があります。かかりつけ医師に相談してください。

便秘

そもそも、赤ちゃんの排便の回数は児によって大きく異なり、 哺乳毎に出る児もいれば数日に1回の児もいます。毎日1回は出なければいけない!というものではありません。また、経過と共に回数も変化します。体重がきちんと増えて、お腹が張って苦しそうでなければ、3日目くらいまではそのまま経過を見てもかまいません。
ただし、早産児・低出生体重児は一般的にお腹が張りやすいので、肛門刺激や浣腸をしばらく行うことがよくあります。肛門刺激等をすることによって、それが癖となって、刺激をしないと排便が出なくなるということはありませんので、ご安心ください。むしろ定期的なガス抜きや刺激で排便リズムがつきやすくなります。

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