離乳食について(早産児、低出生体重児)

1.離乳食の進め方

赤ちゃんは生まれてから母乳やミルクで育ってきました。生後6ヶ月ころになると発育・発達がぐんぐん進むため、母乳にプラスして離乳食の栄養が必要となってきます。
離乳食は、赤ちゃんが噛む力(そしゃく力)と食べる意欲を身につけ、成長に必要な栄養がとれるようになるための大切なトレーニングです。

Q.離乳食を始める時期は?

A.早産、低出生体重児のお子さんは、修正月齢(出産予定日を基準)として5ヶ月~6ヶ月頃から、首のすわりがしっかりしてきて、自発的に口の開け閉めができるようになってきたら、離乳食をスタートしてみましょう。

Q.離乳食の進め方と完了の時期は?

A. 母乳とミルクだけしか知らなかった赤ちゃんは、いきなり固い食事を摂ることはできません。目安となった月齢になったからといって、必ずその通りの進め方をしなければならないものでは無く、消化能力やそしゃく力の発達に合わせて、修正月齢の5ヶ月~1才6ヶ月位までを目安に体調や便の様子、赤ちゃんのペースに合わせ、約1年かけてゆっくりと進めていきましょう。
また、無理せず「いっしょに食べようね」「おいしいね」と声をかけながら、おいしく食べられる雰囲気を作ってあげましょう。
➜ただし、呼吸器や消化器に何らかの障害がある場合や病気を治療している場合には、医師と相談しながら始めましょう。

Q.家族に食物アレルギーがあるので心配です。離乳食も気をつけた方が良いですか?

A. 離乳食を開始する際、アレルギーが心配な方は、かかりつけの小児科へ相談し、自己流で除去食を行わないようにしましょう。

2. 離乳食をはじめましょう♪(はじめかたのタイミング)

最初は、赤ちゃんの機嫌が良いときを見はからって、1日1回1品、1さじを午前中から昼の授乳前に試してみましょう。この時間に行うのには、アレルギー症状が出た際に病院へ行くことの出来る時間帯であるという理由もあります。翌日も同じ時間帯にすると、赤ちゃんの生活リズムができてきます。

Q.離乳食の開始ポイントは?

A.お子さんが、以下のような発達や行動がみられたら離乳食をはじめてみましょう。
  ① 首のすわりがしっかりしている
  ② 支えてあげると座れる
  ③ 食べ物に興味をしめす
  ④ スプーンなどを口に入れても、舌で押し出すことが少なくなる

超出生体重児では、さらに1~2ヶ月遅くなることがあります。焦らず進めましょう。

 離乳初期(修正月齢5~6ヶ月):ゴックン期

離乳初期は、食べることより、いろいろな味に慣れる事が大切です。まずは、10倍粥をすりつぶしたものを小さじ1杯程度(液体に近い離乳食から)ゴックンと飲み込む練習を始め、徐々にポタージュ状を目安にしていきましょう。1週間後、おかゆに慣れてきたらくせの少ない野菜(例えば、にんじんやじゃがいも、大根、かぼちゃ、ほうれん草の葉の部分)などをやわらかく茹でてすりつぶし、ペースト状にして試しましょう。同じメニューを3日ぐらい与えて様子をみましょう。たんぱく質は、やや遅く開始し2週間後に豆腐などの食品を徐々に増やしていきます。

表1)離乳食の進め方の目安

Q.離乳食を始めたら、どのくらいずつ増やして良いのでしょうか?

A.はじめての食材はどれも小さじ1杯からはじめていきます。食べる量は、2~3日に1さじずつ増やすというペースでゆっくり進めましょう。1ヶ月程度たったころには、少しずつ水分をへらしヨーグルトくらいのかたさに調整しましょう。初期の頃は、慣れてきたらつぶした豆腐、白身魚などのたんぱく質を試していきましょう。

Q.離乳食が始まってからの母乳(またはミルク)の量は?

A.この時期の栄養のメインは、母乳やミルクです。離乳食の量が増えなくも、母乳・ミルクの量は減らさず、いつも通り続けましょう。なかなか食べられない事も多いので、月齢が進んだからといって無理に食事量を増やしたりせず、舌の動きや飲み込みの様子を見ながらゆっくり進めていきましょう。

Q.麦茶、果汁、フォローアップミルクを飲ませた方が良いの?

A.この時期は、湯上がりの白湯や麦茶を与えても良いですが、あえて果汁やフォローアップミルクを与える必要はありません。食後の母乳またはミルクをいつも通り続けましょう。

出生体重が小さいほど摂食行動の発達もゆっくりな傾向があります。初期・中期にあたる時期では、超低出生体重児の場合は成熟児より修正月齢でみても1~2ヶ月遅くなる事がありますが、修正1年目頃になると差が少なくなっていきます。
心配事がある場合は、フォローアップ外来にて主治医や看護師、栄養士に相談してみましょう。

Q.1日2回食へ増やしたいと思います。目安と間隔(時間)で増やしたらよいですか?

A. 1回に12~13さじ食べるようになったら、1日2回食に増やしてみましょう。おなかがすいておいしく食べられるように、離乳食の間隔は3~4時間あけるとよいでしょう。
※食べ方や離乳食の進み具合は、個人差があります。焦らず食べられる食材を増やしていきましょう。

Q.飲み込み方、食材の固さをペーストからアップさせるのタイミングは?

A. 口から離乳食をこぼさずに食べられるようになり、だらだらとこぼさなければ、唇を閉じてゴックン出来ている証拠です。口の端からよくこぼすようなら、意識してゆっくりたべさせましょう。なめらかに調理しやすい食材から増やしていくと良いでしょう。

初期(ゴックン期)

 離乳中期(修正月齢7~8ヶ月):モグモグ期

離乳食の1回食を初めて1ヶ月程度経過し、食べる量がある程度増えたら2回食へ増やしましょう。
離乳中期は、舌でつぶせる固さ(豆腐程度の固さ)が目安です。食器に手を出したり、食べることに興味をもつようになったら、パンやスプーンなどを手に持たせてみて、ママはタイミングをみはからってお口に入れてあげましょう。赤ちゃんが慣れて来たら、徐々にやわらかなつぶが混じるジャムぐらいのやわらかさを目安に調理してみましょう。
この時期からお肉が使えるなど、食材も増えますが、離乳食の回数は今まで通り2回で大丈夫です。2回食が十分に食べられるようになったら、哺乳量(ミルク量)が自然に減ってくることがあります。

てづかみ食べも始まり、ママは大変な時期になりますが、これも自立に向けて避けられない成長のプロセスです。赤ちゃんの意欲を大切にしましょう。

Q.なかなか食事がすすみません。どのような工夫がありますか?

A. 成長にともない、興味の範囲も増えて食事がなかなか進まない・・・なんてこともあるかもしれません。そんな時は、新しい食材を試してみる、味付けや調理法を変えてみるなど、変化をつけてみましょう。食事の時間を、家族に合わせていくのも良いでしょう。

Q.ベビーフードを利用しても良いの?

A.ベビーフード(BF)は、手作りするときの目安としたり、裏ごしなど、下ごしらえの大変な時期なので、BFをうまく活用して赤ちゃんの好みをリサーチしてみても良いでしょう。

Q.日によって食べる量にかなり差があります。

A.離乳食の食べ方にも個性が出てくる頃です。1日のミルクの回数と量、食事の時間などをもう一度確認してみましょう。

中期(モグモグ期)

離乳後期(修正月齢9~ヶ月):カミカミ期

2回食を開始して2~3ヶ月が経過し、十分に摂取出来てきたら3回食へすすめ、食事のリズムを大切に進めていきましょう。栄養の中心は離乳食に移っていき、栄養のほとんどを離乳食からとるようになるため、栄養バランスが大切になります。
離乳後期は、歯茎でつぶせる固さ(バナナ程度の固さ)が目安です。舌が上下左右に動くようになり、モグモグと舌でつぶせなければ左右に寄せて歯茎でつぶして食べる大人と同じ動きになります。
哺乳量については、食べる量が増えて食後の母乳やミルクが減る赤ちゃんもいます。食事後の哺乳量は、欲しがる量を続けて良いでしょう。

Q.急に熱が出てから、その後食べなくなりました。離乳食はどうしたらよいでしょうか?

A.順調に進んでいるようにみえても、乳児期には易感染性により突然発熱したり、下痢が続く事で離乳食の中断が起きやすく、全体の進みが遅くなることもあります。あせらず、元の食事から始めていきましょう。場合によっては、一段階下げる事でよく食べるきっかけにもなります。

Q.修正月齢で同じ時期のお子さんと比べると、食べ方が少ないようで心配です。

A.はじめは遅いようであっても、修正月齢12ヶ月頃になると追いつく事が多いので、栄養相談や主治医と摂食機能の発達を確認しながら進めていきましょう。その他、ミルクや母乳の回数が多い時は、食べ方が減ることもあります。食事前にミルクを飲ませることが無いようにしましょう。

後期(カミカミ期)

離乳完了期(修正月齢12~15ヶ月):パクパク期

この時期は、噛むことの基礎を作る時期になります。個人差が大きいので、赤ちゃんがよく噛んで食べられる固さ、大きさに作りましょう。大人の食事から取り分けて手軽に作ることも出来るようになります。

早い時期から濃い味を覚えてしまうと、薄味を嫌がりがちになります。だし汁の作り置きしておき(だしを冷凍キューブでストック)、赤ちゃんのお味噌汁を薄めるなど工夫しましょう。
また、味付けが薄い段階で大人の食事から取り分け、固くて消化の悪いものを除けば、大人と同じご飯が食べられるようになります。
おにぎりにしたり、めんは少なめの汁をからめる、手づかみでも食べやすいメニューを工夫しましょう。
見た目や雰囲気で、食欲が左右されるようになります。きれいな彩りに、つい手が伸びるのは、赤ちゃんも大人も同じです。盛り付けの工夫も、食事に興味を持つための大切なポイントです。

Q.お野菜をなかなか食べてくれません。どうしたら良いですか?

A.噛みにくい食材(葉物や筋のあるもの)は、繊維を断ちきるようにみじん切りにして混ぜてみると良いでしょう。野菜や肉など線維が多くて食べにくそうなら、まだまだとろみをプラスするなど工夫が必要です。野菜は、ビタミンやミネラルが豊富です。野菜だけは小さくきざんで、ごはんに混ぜたり、おこのみ焼きにしたり、つぶしたポテトに混ぜたり、ホワイトソースを掛けてのどごしをよくする、グラタンに混ぜる、汁物に入れるなど、工夫してみましょう。

3. 食物アレルギーについて

食物アレルギーとは、ある食べ物を食べた後にじんま疹やかゆみ・咳やぜーぜー・嘔吐や下痢・ぐったりしたり顔色が悪くなったりするなどの症状が出る病気です。1歳未満が最も多く、成長とともに減っていきますが、1歳以降に初めて食物アレルギーが分かる子どももいます。子どもでは鶏卵、牛乳、ナッツ類、小麦が原因であることが多いです。もし、離乳食を食べさせて赤いぶつぶつができて、かゆがる様子が見られたら、かかりつけの小児科に問い合わせてみましょう。咳や嘔吐がひどいときやぐったりした時は救急車で病院に行く必要がある場合もあります。

食物アレルギーへの対応

アレルギーの原因になりやすい食べ物を初めて食べることを遅らせても、食物アレルギーを予防する効果はないことが分かっています。
生後(修正月齢)5~6か月頃から離乳を始めていきます。離乳を進める中で、食物アレルギーが疑われる症状がみられた場合、自己判断で特定の食べ物を除去することを長く続けることはせずに、必ず医師に対応を相談しましょう。除去が必要な場合でも必要な栄養素を確保するために医師や栄養士からの指導がある場合もあります。

子どもに湿疹がある場合は食物アレルギーがある可能性が高いことが分かっています。基本的には湿疹があることで離乳食の開始を遅らせる必要はありませんが、事前に湿疹について医師の治療を受けたり、離乳食の開始について相談したりすると安心して離乳食を進められます。

ベビーフードを活用する際の留意点について

ベビーフードの利点と課題

【利点】
①単品で用いる他に、手作りの離乳食と併用すると、食品数、調理形態も豊かになる。
②月齢に合わせて粘度、固さ、粒の大きさなどが調整されているので、離乳食を手作りする場合の見本となる。
③製品の外箱等に離乳食メニューが提案されているものもあり、離乳食の取り合わせの参考になる。

【課題】
①多種類の食材を使用した製品は、それぞれの味や固さが体験しにくい。
②ベビーフードだけで1食を揃えた場合、栄養素などのバランスが取りにくい場合がある。
③製品によっては子どもの咀しゃく機能に対して固すぎたり、軟らかすぎることがある。

ベビーフードを利用する時の留意点
  • 子どもの月齢や固さのあったものを選び、与える前には一口食べて確認を。子どもに与える前に一口食べてみて、味や固さを確認するとともに、温めて与える場合には熱すぎないように温度を確かめる。子どもの食べ方をみて、固さ等が適切かを確認。
  • 離乳食を手づくりする際の参考に。
  • ベビーフードの食材の大きさ、固さ、とろみ、味付け等が、離乳食を手づくりする際の参考に。
  • 用途にあわせて上手に選択を。そのまま主食やおかずとして与えられるもの、調理しにくい素材を下ごしらえしたもの、家庭で準備した食材を味つけするための調味ソースなど、用途にあわせて種類も多様。外出や旅行のとき、時間のないとき、メニューを一品増やす、メニューに変化をつけるときなど、用途に応じて選択する。不足しがちな鉄分の補給源として、レバーなどを取り入れた製品の利用も可能。
  • 料理や原材料が偏らないように。離乳が進み、2回食になったら、ごはんやめん類などの「主食」、野菜を使った「副菜」と果物、たんぱく質性食品の入った「主菜」が揃う食事内容にする。ベビーフードを利用するに当たっては、品名や原材料を確認して、主食を主とした製品を使う場合には、野菜やたんぱく質性食品の入ったおかずや、果物を添えるなどの工夫を。
  • 開封後の保存には注意して。食べ残しや作りおきは与えない。乾燥品は、開封後の吸湿性が高いため使い切りタイプの小袋になっているものが多い。瓶詰やレトルト製品は、開封後はすぐに与える。与える前に別の器に移して冷凍又は冷蔵で保存することもできる。食品表示をよく読んで適切な使用を。衛生面の観点から、食べ残しや作りおきは与えない。

厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月)〈コラム2〉引用

(いまきいれ総合病院から提供いただきました)

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